-------- --:-- | カテゴリ:スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2010-06-18 23:11 | カテゴリ:伊坂幸太郎
魔王'05年10月刊

 表題作「魔王」とその後を描いた「呼吸」の2作からなる連作小説。
 「魔王」は例のあれですね。シューベルトの「お父さん、お父さん、魔王のささやきが聞こえないの?」の「魔王」。世の中の何かが迫っていることに対して主人公安藤が自分だけが気付いていることを重ね合わせて思う場面からつけられている。帯には「世の中の流れに立ち向かおうとした、ある兄弟の孤独への闘い」とある。実際は兄弟だけではなくて二人を取り巻く人はいるんだけどね。
 
(あらすじ)
「魔王」
 会社で働く安藤は早くして両親を事故で亡くし弟の潤也と共に生きてきた。ある日自分の思ったことが別の人の口から発せられていることに気付く。その頃世間では中国やアメリカに対しての排他運動が広がりつつあり、政治の世界においては若き代議士犬養が大衆の支持を集め次期リーダーと目されていた。世の中の動きが危険な状態と感じた安藤は犬養が街頭演説をすることを聞きつけ、信用を失わせる発言をさせることを試みるが、押し潰されそうな胸の痛みを感じその場に倒れる。
「呼吸」
 安藤の死から5年後、弟の潤也は詩織と結婚し仙台で暮らしていた。犬養は首相となり憲法改正の国民投票日が近づいていた。犬養は自分に不利益になることも変えていったが反対する議員は病死等で姿を消していた。潤也は兄の死を犬養の能力のせいではないかと考え始める。犬養とムッソリーニを重ね合わせた会話の中で、ムッソリーニが恋人のクラレッタと共に処刑された時、逆さ釣りにされたクラレッタのスカートがめくれたのを自分のベルトでめくれないようにしてあげた人の話をし、潤也は自分もそういう人になりたいと言う。
 ある日、潤也はじゃんけんで勝ち続けていることに気付き、その能力を競馬で試し最終レースでは外すが、確率が10分の1以下の時に有効なのではないかと考える。兄の友人の島から、意思と金があれば国だって動かせると言われ、1人で東京へ言ってくると詩織に告げる。
 国民投票の日、詩織は潤也の1億2千万円もの通帳を見つける。詩織は潤也に、クラレッタのスカートを直す時は私も一緒に直すと告げる。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
| トラックバック(0)
2010-03-13 22:39 | カテゴリ:三崎亜記
廃墟建築士「廃墟建築士」/三崎亜記
'09年1月刊
 今回は全作品シリアスだな。設定は荒唐無稽だけど。筒井康隆のドタバタとお笑いをなくした感じ。こっちの方が好きだけど飽きられてしまうのかな。
 シチュエーションとしては自分が守ってきたものに別の人間が踏み込んできたことによって自分自身を見つめなおして本来の自分のあり方・生き方を考えるってパターンが多かったかな。
 「蔵守」はノスタルジックなファンタジーと近代性があいまってるけどファンタジックなままの方がよかった気がする。
 珍しく別の作品のキャラが再登場してる(「図書館」の)。能力の応用みたいな感じで。最後にほとんどの作品がつながると面白いのにな。

(あらすじ)
「七階闘争」
 ビルの7階で殺人事件、自殺、孤独死と続けざまに事件が起きたため市長は7階を撤去することとし、7階の住人への転居交渉が始まる。
 転居交渉を受けた森崎は取引先の並川に話し掛けるチャンスになればと転居交渉について問い掛けると7階護持闘争のチラシを渡される。そこでは7階を守り抜くために闘おうする人々が集まっていた。
 ある日並川から反対運動の活動に参加してもらえないかと誘われる。指定された場所へ行くとある建築中のマンションを全部7階にするという。反対活動が続く中、ゴネ得を狙っての活動と周囲が見るようになり組織は解散する。最後の日森崎は並川から7階と運命を共にする決意を聞く。
 市の交渉に応じ転居した森崎はある日7階がなくなったことに気付き並川のマンションへ向かう。そこにはやはり7階はなく並川の会社に電話したところ無断欠勤しているという。
 森崎は並川を思い出にしないために7階撤去が決まった隣町へ向かう。
「廃墟建築士」
 学生の時に全長7キロにもおよぶ連鎖廃墟に魅せられた関川は野口建設で廃墟建築士の道を歩んでいた。20年前に海外から日本の廃墟文化に対する未熟さを蔑まされたことが追い風となり野口建設は廃墟建築士を育成していった。関川の1番弟子である鶴崎の会社は業界のリーディング企業となり地上100階の高層廃墟を手がけ、廃墟先進国を目指していた。関川は鶴崎に嫉妬を覚えながらもその言葉に違和感を感じていた。しかし鶴崎の偽装廃墟が発覚し、他の廃墟も同様であることが次々と明るみに出たため廃墟三流国の冠を頂くこととなった。責任を感じた関川は廃墟との関わりを一切絶ち汚名を払拭しようと躍起になっていた。関川はかつて訪れた連鎖廃墟を見て命こと切れるまで廃墟を造り続けることを決意する。
「図書館」
 ハヤカワ・トータルプランニングの日野原はある町の依頼により夜の図書館の開館のためやってくる。かつて図書館は「本を統べる者」と呼ばれ多数の本を引き連れ世界の空を回遊していた。今も深夜だけは野生を取り戻していた。日野原はそれを調教し一般に公開する役割を任される。10日を掛けて準備をし、一般公開に踏み切る。閲覧者は飽きることなく本の回遊を眺めていた。最後の夜間開館日を迎えた日、日野原は延長のお知らせの張り紙を見つける。日野原は早川社長に問い合わせるが町の判断に任せようと答える。延長されたされた日調教された本の動きを見て図書館職員の高畑が日野原のマニュアルを盗み見たことに気付く。高畑は本をそれまでより華々しく動かし取材陣にもフラッシュを焚かせた。日野原が並べないで欲しいと要請した寄贈本がそこに含まれていたことにより本は暴走を始める。日野原は治めようと努力するが閉架図書の長老達がそれまでの暴挙に腹を据えかね暴れだす。一度は治まるが高畑と図書館の意識がシンクロしたことにより本は再度攻撃性を取り戻す。危険を感じたその瞬間イッカクリュウチョウが現れ、本は書架に逃げ込む。それは早川社長が出したものだった。
「蔵守」
 自分の内面に「存在」を感じ始めた蔵守の前に女性の蔵守見習が現れる。蔵守は見習を必要としておらず誇りを持っている蔵のメンテナンスに対しても彼女はここで何かを学ぶ気はないと答える。こんな存在に蔵守の座を奪われてしまうことに心を痛めていた。
 略奪者がやって来ると感じた蔵守は見習いと共に準備を始める。見習いに蔵を守る必要はなく見習いのままここを逃げ切って他の蔵での蔵主になることを勧める。
 略奪者の前に蔵主の死体が転がる。略奪された蔵の中身が人体に害を及ぼし新たな蔵の中身を加えることによって中和されるために略奪は行われていた。
 見習いは蔵守に言われたとおり非難し東を目指し新たな蔵を見つけそこでの蔵守となる決意をする。
【ジャンル】:本・雑誌 【テーマ】:読んだ本。
| トラックバック(0)
2010-02-06 22:24 | カテゴリ:東野圭吾
容疑者Xの献身'05年8月刊
 いわゆるガリレオシリーズ。
 ミステリー読みはこういうのを望んでるんだろうな。アリバイ崩しなんだけどアリバイを崩して逮捕ではないためアリバイそのものの驚きの方が大きい。
 この手のミステリーは小説上の探偵役と合わせて読者をも騙さなければならい。読んだ後は筒井康隆がやりそうなメタ小説って雰囲気も感じたけど。
 なぜ湯川が石上が靖子に好意を持っていることに気付いたのかも謎の一つとして示されている。
 石上の靖子への思いが好意ではなく実は別のものだったらもっと意外だったのに。実は娘の美里の父親は石上だったりとか。

(あらすじ)
 花岡靖子はかつてクラブ勤めをしていたが弁当屋「べんてん亭」で働いてた。靖子のアパートの隣室に住む石上という高校教師は靖子に好意を持ち「べんてん亭」へ毎朝弁当を買いに来ていた。靖子の元へ離婚した夫富樫慎二がやって来、復縁を迫るが身の危険を感じた靖子は娘の美里と共に富樫を殺害する。事態に気付いた石上は靖子にアリバイ工作を申し出る。
 江戸川の堤防で顔と指紋を潰された死体が見つかる。都内の行方不明者を探したところ富樫慎二の行方が分からなくなっていることが判明し、死体の近くに乗り捨てられていた自転車から富樫の指紋が発見される。
 富樫の足取りを追う草薙刑事は靖子にも事情聴取をし隣室の石上にも話を聞く。石上が帝都大の出身と知った草薙は湯川に石上の話をする。石上は50年に1人の天才と呼ばれる数学者で湯川が一目置く人物だった。
 草薙は靖子に事件当日の行動を聞き、確認の取れない時間もあったが完璧なアリバイがあった。
 事件を知ったかつての靖子の客である工藤という男が靖子を訪ねる。靖子も工藤に好意を持ちはじめるが石上が二人の後を追う。石上は靖子に脅迫めいた手紙を送り自分が元亭主を殺したのに違う男と接触しているのは許せないから靖子も逮捕すべきであると自首してくる。
(ネタバレ)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
| トラックバック(0)
2010-01-24 10:38 | カテゴリ:北森 鴻
香菜里屋を知っていますか '07年11月刊
 香菜里屋シリーズの最終刊。何も終わらせる必要はないのになぁ。卒業みたいでちょっと淋しい。
 常連客やら他の作品の登場人物やらオールキャスト総出演。

(ラストマティーニ)
 香月圭吾は老いたバーテンダーのいるBAR谷川を訪れる。しかしそこで出されたマティーニは冷やされていないジンを使った水っぽいものだった。その後BAR谷川は店を閉める。なぜジンを冷やさなかったのか香月は香菜里屋で語り合う。

(プレジール)
 結婚が決まり山口へ移転する飯島七緒は寝たきりの祖母を亡くした峰岸明美を誘って銀座へ飲みに出た。そこで出されたもつ煮に対し気分を悪くした明美に七緒は異変を感じる。七緒はバー香月で明美と出会うが酔客が持ってきたおでんの匂いで明美は嘔吐してしまう。その後明美から、母親の実家のある群馬県で自分を鍛えたいとはがきが届く。七緒は婚約者と香菜里屋を訪れ一連の出来事を話すと工藤は蒟蒻に原因があるのではないかと言う。

(背表紙の友)
 東山朋生は香菜里屋で隣り合った客に中学生の頃山田風太郎の本が読みたかったが恥ずかしくて買えず違う本と背表紙を変えて買ったことを話す。工藤はどうしてその話になったのか気にする。
 東山は雫石の旅館の主人から誘われ会社を退職しその旅館の番頭になることを決意する。そんな時香菜里屋に馬肉が届き、送り主は山田風太郎の本の話をした隣客の浜口であろうと想像する。

(終幕の風景)
 若いカップルが香菜里屋でタンシチューがないことに悪態をつき店内が険悪な雰囲気になるが、代わりのメニューを出すことで店の雰囲気は和む。その後そのカップルから香月は香菜里屋でタンシチューがなかったと聞き不審に思う。香月と工藤は同じ店で修行しその店に香菜という女性がいたが二人の前から姿を消しそれ以来工藤は香菜の帰還を願い店を休まずタンシチューを作っていた。

(香菜里屋を知ってますか)
 雅蘭堂へ香菜里屋で使用していた道具があると聞きつけ男がやってくる。男は工藤を侮蔑の口調で語り工藤の居場所を越名集治に訊ねる。このことを香月に話すと香月は修行時代にあった事件を語りだす。
 修行していた横浜の店に大手外食産業がチェーン店化の話を持ち掛けるがオーナーは固辞する。その後店への嫌がらせのような事が続きホール係が辞めた後に入ってきたのが香菜だった。香菜は工藤に好意以上のものを持っていた。
 ある日料理評論家が取材に来店しタンシチューを口にするが塩辛く吐き出してしまう。工藤がやったことと思い込んだ香菜は工藤を許さないまま旅に出、その後店も閉店した。
 一緒に働いていた時田雅夫のせいではないかと思い当たった時、宇佐美陶子が時田と名乗る男が自分を訪ねてきたとやってくる。香月は確かにあの時のタンシチューは塩辛かったが全体にバランスが取れていたことに思い当たる。工藤は二種類のソースを作っていたのではないかと考える。
(ネタバレ)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
| トラックバック(1)
2010-01-03 22:37 | カテゴリ:その他小説
対岸の彼女 '04年11月刊
 第132回直木賞受賞作
 主婦小夜子が仕事を見つけそこで自分の存在意義を見つけ出す姿と小夜子が勤める会社の社長葵の高校時代がカットバックで描かれる作品。普通こういう設定だと小夜子の学生時代なんだろうけどななんて思いながら読み始めた。正直最初高校時代の話は本筋とギャップがあってうざったかったけど同級生ナナコが出てくる辺りから物語性を帯びてくる。ナナコと葵の関係が心地よく感じられた。ちょっと重松清チックな感じもよかったかも。
 途中で引用されてるフランク・シナトラの「観客の心をとらえる方法はひとつしかない。それは誠実かつ謙虚な姿勢で観衆に訴えかけること。」の言葉が心に響いた。

(あらすじ)
 3歳になる娘あかりを抱えた田村小夜子は働きに出ることを決意する。採用が決まったのは旅行会社でありながら清掃業をやる、小夜子と大学が同じ楢橋葵が社長を務める会社「プラチナ・プラネット」だった。
 小夜子はその研修で中里典子という中年女性にしごかれる。連れて行かれた先はどうしたらこれだけ汚せるのかというほどのマンションの一室だった。その後も汚れきった部屋へ連れて行かれ掃除の仕方から客への目配せにいたるまで徹底的にしごかれる。小夜子は広告案の企画を葵に提案し葵も小夜子の自宅を訪問し一緒に広告の案を練る。研修を終えた頃小夜子は仕事と自分に対して自覚を持つようになってきた。あかりの運動会の日、葵が小夜子のチラシによって依頼が来たことを告げに来る。自分がやったことに意味を見出した小夜子は涙を流す。あかりを連れて2人はその日熱海へ向かう。一泊することを誘う葵に小夜子はこのままだと夫を置いて逃げてしまいそうだと断るがその途端葵の態度が変わったことに気付く。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
| トラックバック(0)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。