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2008-06-07 21:20 | カテゴリ:三崎亜記
鼓笛隊の襲来'08年3月刊

 今回は結構統一感のある短編集。荒唐無稽なシチュエーションの中で人と人との触れあいを見つめなおすっていうテーマが大半を占めてる。
 自分の記憶は本当に過去からの蓄積なのか(彼女の痕跡展)。変わったはずなのに実は以前と変わらない自分を見つめる(覆面社員)。自分が住む街が故郷なのだと感じる瞬間(象さんすべり台のある街)。同じものを見ていても実は違うものを見ているのではないかと感じてしまう(「欠陥」住宅)。
 ふとした時に常識じゃない考え方にとらわれる事はある。目の前で起きてることが本当に共通認識の出来事なのかとか。だから色んな思想家が色んなこと考えたんだろうけど。

〈あらすじ〉
(鼓笛隊の襲来)
 台風のように発生した鼓笛隊が戦後最大規模で襲来する。かつて大規模な鼓笛隊と遭遇したことのある義母が鼓笛隊への対応の心得を説く。

(彼女の痕跡展)
 恋人と呼べる相手がいなかったのに恋人を失った喪失感が重くのしかかってくる私は「彼女の痕跡展」という展示会を見つける。そこにはかつて自分が所有していたものが展示されていた。しかしそれらを失ったという記憶はなかった。ある日展示場へ電話して見ると主催者が電話に出る。その人物は誰かと暮らしていた記憶はあるのだがそれがだれかを思い出せないと言う。私は自分も同じだと告げると突然電話が切れる。ギャラリーへ駆けつけるが誰もいなく「彼女の痕跡展」もなかった。

(覆面社員)
 労働者の精神衛生面の権利保護の観点から「覆面を被る権利」が導入され世間では「覆面の市民権」が広がっていた。同僚の由香里が「青山紀子」と名乗り覆面を被り出勤してくる。それは不倫関係にある課長に対する意思表示と思われたが課長と結婚することになっても覆面を外すことはなかった。

(象さんすべり台のある街)
 住宅街の中ほどにある公園に本物の象のすべり台が設置される。ある日、住宅火災を見つけた象が鎖を引きちぎり逃げ遅れた女性を助け消火活動を行う。設置された時と同じ象ブームが起こるがその後象は消えてしまう。

(突発型選択装置)
 彼女を抱きしめた時、彼女の背中にボタンがあることに気付く。ある日二人の男が職場を訪れ、いつまでボタンを置いておくのかと訊かれる。「暫定占有申請書」なる書類にサインさせられ、くれぐれもボタンを押さないように言われる。

(「欠陥」住宅)
 高橋の携帯が不通になったため自宅へ電話を掛けるが、電話に出た奥さんは自宅へ伺っても「姿を見ることはできても会えない」と言う。毎日段数の変わる階段、次第に成長していくかのような子供部屋日々変わる窓の外の風景。ある日を境に住宅に異変が起きていたという。

(遠距離恋愛)
 飛代市が「浮遊特区」の申請をし、上空200mから1千mの間に滞在する浮遊都市となり、久美は恋人の雄二と特殊な遠距離恋愛を続けていた。

(校庭)
 娘の通うかつての母校であった小学校へ父兄参観で訪れた私は校庭に一軒の家が建っているのを見つける。娘の教室で一人だけ除け者にされている少女を見かける。その子は自分が小学生の時にもいたことを思い出す。夜の校舎に立ち寄る私は校庭の家から光が漏れているのを見つけそこに自分の会社の社員を見かける。

(同じ空を見上げて)
 5年前の2月3日、恋人の聡史を乗せた電車は乗客全員と共に姿を消してしまった。毎年その日の上り列車に乗れば、消えた列車を一瞬だけ見ることができた。その光を見送った後、聡史との思い出の品である知恵の輪がポケットの中で解けていることに気付く。
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【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
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