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2008-01-06 16:04 | カテゴリ:連城三紀彦
宵待草夜情―連城三紀彦傑作推理コレクション
'83年刊
 連城ミステリーのNo.1だと思う作品集。男と女の関係を描きながらミステリーとしても遜色ない。作品順に心情重視からミステリー重視へバランスがシフトしていってる気がする。「能師の妻」では後妻に入った篠が継子貢に能師としての技量を叩き込むため厳しい稽古をつける一方、母子とも男女ともつかない強い思いを描いており、その結末としてひとつのトリックが使われている。「野辺の露」は連城お得意の「実は」ストーリー。ずっと寄せていた義姉に対する想いを綴りながら真実に気付いていく。表題作「宵待草夜情」も命儚い者達の淡い望みを重ね合わせて描いている。伏線も散りばめられており、読み返すとなるほどと思わせる。「未完の盛装」はそれまでの作品に比べると欲望が色濃く描かれミステリートリック度を強く描いた作品。表現が難しいはずなんだけど視点がブレることなく描かれている。明治中期から戦後まで時代を背景に描かれているけどこの時期の作品を書かせたらやっぱりうまいね。

「能師の妻」
 能師藤井信雅は鷹場伯爵の援助を受けていたが伯爵の洋行と共に不運に見舞われ家族を次々と失う。自身も脚を痛めたため、まだ16才の次男の貢に自分が舞うはずだった「井筒」を帰国した伯爵の前で舞わせ絶賛される。しかし貢はその3日後に失踪し10日後に変死体で発見される。神社境内の桜の木の下から貢の体の一部が発見され、そこで義母の篠の姿を見たとの証言する者が現れ篠が犯人とされる。警官が藤井家に踏み込むが自供を記した手紙を残し、篠は失踪しその後行方不明となる。

「野辺の露」
 兄の妻杉乃に想いを寄せる順吉は兄の入院中に杉乃と関係を持ち暁介が生まれ兄の子として育てられるがやがて兄の知るところとなる。兄は弟との縁を切り杉野とその子暁介に冷たい仕打ちをし妾の家に入り浸り妾の方の子供ばかりを可愛がっていた。ある日暁介が順吉を訪ねて来、その後泥酔し父親を刺し殺したとして逮捕される。

「宵待草夜情」
 カフェ「入船亭」に入った古宮は女給土田鈴子と親しくなり通い始める。同じカフェの女給照代と恋仲だった稲田が鈴子に心変わりしたことを恨みに持って、照代は進んでいた鈴子の結婚話を邪魔するようになり相手も疎遠になっていたと聞く。古宮はかつて友人白河が自らの命を削って描き上げた絵に真紅の絵具を塗りつけ白河を画壇から絵を葬った。東京へ出ようと決意した古宮は鈴子に宵待草を描いた扇を渡そうと入船亭を訪ね店から出てくるのを待っていたが鈴子が着物の袖を赤く染めて出てきたのを見つけ店へ入ると照代が死んでいた。鈴子に渡そうとした扇に鈴子は古宮の吐いた血を指につけ切る。

「花虐の賦」
 病床の夫と子供を捨て女優として開花した川路鴇子こと津田タミは演劇の師である絹川幹蔵と師弟の関係にありながら男女の関係にあった。舞台「傀儡有情」の成功により「佳人座」に大きな展望がひらけた最中、絹川が突然自害し、周囲ではその理由がまったく分からなかった。絹川の四十九日に鴇子も同じ千代橋上で自害し、後追い自殺と見られた。

「未完の盛装」
 戦地から夫が帰って来たが、既に闇物資の仲買人である吉野と関係ができていた葉子にとっては邪魔な存在だった。病床に伏せることになった葉子の夫に吉野も業を煮やし吉野は葉子に薬を渡し、その一週間後夫は葉子の目の前で死ぬ。医者の田口を呼ぶが何も言わず死亡を確認する。葉子は吉野に夫を殺したことと桜井という刑事が来て吉野が葉子に薬壜を渡したところを見たという葉書が来たと訪ねて来たことを告げる。その年末新宿に店を持った葉子の前に桜井があの時の薬壜を持って現れる。
 それから十五年後吉野は、赤松弁護士事務所を訪ね、あの事件を知った女給の歌江から脅迫されているがもう時効である事を話してもらいたいと依頼する。歌江は十二年前の事件として手紙をもらったという。一方で桜井も脅迫を続けており警察に時効まであと三日だと電話する。死亡日を証言できる田口医師も殺害される。
(ネタバレ)

「能師の妻」
 貢の棺から胴体を抜き出しそこに篠自身が入り込んだのではないかと想像された。
「野辺の露」
 暁介が酔って帰ってきた時の相手は順吉であり鈴すら握れないほど泥酔した暁介を送った順吉は兄を殺したのは杉乃だと知る。酒に酔った姿を見自分ではなく兄の子供だと感じる。結婚してすぐ女を囲った杉野の兄への復讐だと気付く。
「宵待草夜情」
 照代が殺された時鈴子が店から出てこなかったのは夥しい血に気付かなかったためで鈴子は目の秘密を隠していたせいではなかったかと考える。
「花虐の賦」
 鴇子の心は夫にあり、鴇子は夫の四十九日に後を追うつもりであったことが絹川の知るところとなり、「傀儡有情」の楽日まで待ってくれるよう頼み込む。四十九日ではなく百箇日に死ぬ決意をした鴇子の意思を知った絹川はその四十八日前に自らの命を絶ち、あたかも鴇子が自分の四十九日に後追い自殺をしたかのように装うこととした。
「未完の盛装」
 15年前葉子は夫を毒殺しておらず死因は病死であった。吉野が離れていくのを防ぐため、共犯として桜井に葉書を書いて送ったものだった。桜井が新宿の店を訪ねたのは薬壜の封が切られていないことの理由を知りたくて訪れたもので、桜井に真実を話し脅迫の芝居を演じ続けさせていた。時効の前年に吉野に桜井を殺害させる。田口医師も葉子にとっては毒殺ではないことを知っている証人の一人であった。歌江が読み違えたのは「去年末え」と葉子が書いた言葉だった。
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【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
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