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2009-05-24 14:10 | カテゴリ:向田邦子
男どき女どき (新潮文庫)'82年8月刊
 「鮒」と「ビリケン」は珍しく男視点の作品である。この人の作品は男に振り回されて女性があれこれ動き回る話が多い気がする。「嘘つき卵」がそんな感じかな。「ビリケン」に至っては男と女の関係すら描かれていない。
 「三角波」はダブルの意味で連城三紀彦的なラスト。
 「嘘つき卵」ってどういう発想から生まれたんだろう。瀬戸物でできた偽卵の話とか。冷たい卵は冷たくておいしくないってそんなもんかなって思うけど。多分今時毎朝生卵食べる家はない気がする。それにも意味があるのかな。「みごもるためには気持ちもからだもあたたまらなくては駄目」って言葉に妙に納得したりして。ここが発想のスタートのような気がする。
(あらすじ)
(鮒)
 塩村が家族と団らんの最中、誰かが玄関に鮒の入ったバケツを置いていく。塩村はそれがかつて関係を持ったが足が遠のいて1年が経つツユ子が飼っていた鮒吉だと気付く。塩村は息子の守に放流して来いと言うが守は飼うと言い出す。塩村には鮒吉が塩村とツユ子がしてきたことを知っているかのように感じられた。
 塩村は守を連れツユ子のアパートを覗きにいくが引っ越した後だった。
 二人が出かけた後鮒吉は死んでいた。守は母親が洗剤でも入れたのではないかと問い詰める。母親は守に今日どこへ行ったかと聞くが、守は「ワン!」とだけ答える。
(ビリケン)
 石黒には朝、駅までの通勤途中で果物屋の主人とにらみ合いをするのが日課になっていた。石黒はその主人をひそかにビリケンとあだ名をつけていた。
 色艶だけはよかったビリケンがみるみる痩せてきたと感じてからすぐに亡くなる。
 ある日妻から勤め先に電話が入り、長男がビリケンの店でりんごを万引きし逃げるはずみにガラス戸を壊したことを聞く。詫びに伺った石黒はビリケンはかつて神田の古本屋だったことを知る。その店は石黒が万引きしたことのある店で今にして思うと、店の主人に説教されているのを横目で見ていたのがビリケンだったと気付く。石黒は生前のにらみ合いは自分の過去を知ってのことだと考える。
 ビリケンの息子から、ビリケンが必ず日記をつけていたことを聞いた石黒は自分の万引きがばれることを恐れ、退職金を前借してその土地を離れることにする。
 石黒は土地を離れる前にビリケンの息子と飲みに行き、ビリケンは石黒と逢った覚えがないが向こうは自分を知っているのか気にしていたことと石黒をクイナとあだ名していたことを聞く。
(三角波)
 達夫と結婚が決まった巻子は達夫の会社の部下の波多野が自分に気があると感じていた。達夫にはない波多野の繊細なところに自分の気持ちを量りかねていた。波多野は婚約した後も二人の運転手をしたりしていた。ある日巻子と二人きりになった時「知ってて知らん顔出来るんだから」と言われる。
 ある朝、新居の雨戸を開けるとそこに波多野が立っていた。巻子は驚くが波多野が見ていたのは巻子ではなく後ろに立っていた達夫であった。
(嘘つき卵)
 結婚して5年が経つ佐知子は子供がいなかった。佐知子は病院で検査を受けるが問題はないと判定される。その結果を夫の松夫に知らせ松夫にも検査を受けるよう勧めるが結婚する前に身ごもらせたことがあるから自分にも問題がないと言われる。
 佐知子はその相手がかつて松夫に連れてもらったバー「ドロップ」のママだと思った。しかし訪れたその店にはママはおらず、一人で水割りを飲んでいると見知らぬ男から、今写真を撮ったので1週間後ここで渡すと言われる。
 1週間後見せてもらった写真には猥らな表情をした自分が写っていた。
 二人で店を出てラブホテルの前に差し掛かったとき、男はジャンケンをして自分が勝ったら入ろうと言われ、佐知子はうしろを見ずに駆け出す。
 そのひと月後佐知子は身ごもるが手も握っていないあの男の子供のような気がしていた。みごもったこと真っ先に知らせるために松夫に電話するが言葉が続かず涙がこぼれそうになる。
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【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:読書
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2009-05-06 23:44 | カテゴリ:北森 鴻
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)'08年8月刊
蓮丈那智フィールドファイルⅡ

 「秘供養」で取り上げられている五百羅漢は遠野のものなんだろうな。文中にも遠野のことが触れられているし。ここは近くをバス通りが走っててそんなに山奥って感じじゃないけど。
 事件の謎の解決と共に民俗学的な解釈も加わっている。

(あらすじ)
「秘供養」
 五百羅漢があると聞いた那智は東北のR村へと向かうがフィールドワークの途中雪庇が崩れ足を骨折してしまう。
 那智はR村の五百羅漢が
・なぜ供養のし難い山の奥にあるのか。
・なぜ柔らかい堆積岩に彫ったのか。
・なぜ五百なのか。
の疑問を元にレポート試験の課題とする。
 大学では内藤三國が那智の講義を受けてる東城弥生からレポートについての質問を受ける。自分はR村出身だから驚くようなレポートを仕上げると言い放つ。弥生を知る同じ学科の助手である敷根から弥生は多情仏心だと聞く。
 レポートの下読みをしていた内藤三国の下へ刑事が訪れ弥生が河川敷で焼死体になって発見されたと告げる。研究室に戻ると部屋中黄色いペンキでまみれていた。弥生のレポートは未完成のまま送られていた。
 那智と大学時代の同級生である教務部の狐目の予算担当者が初登場。 
「大黒闇」
 杉崎尚子が兄を助けてくれと研究室の三國を訪れる。直子の兄秀一は学内のサークル「アース・ライフ」に参加したことから言動がおかしくなったという。三國は秀一を探しに「アース・ライフ」の教場を訪れ一員となりかけたところを那智に救われる。那智から、秀一が首吊り自殺をし骨董商殺しの疑いをかけられていることを知らされる。警察の調べでは秀一の遺体の傍に戎と大黒の像が置いてあり、殺された骨董商の台帳には「エビス・ダイコク1対」と記載されており、「アース・ライフ」主宰の桂木雅生は事件前日その像が骨董商の店にあったという。
 ここでは大黒天は破壊の神シヴァ神が大国主命と同化し変貌していった等、神の変貌が取り上げられている。
「死満珠」
 那智は三國に暗号めいた表現でメールを送ってきた。それを読んだ三國は塩満珠・潮涸珠に関するデータを削除する。その二日後那智が死後二十四時間経過した男性の遺体とともに車の中から意識不明のまま発見された。遺体は福永昭彦という在野の研究者で胃の中から曲玉が発見されたことにより那智が犯人とされる。他に奥津城、間島、東山という研究者が集まり報告会を開いており3人とも睡眠薬で眠らされたと供述する。。
「触身仏」
 1年前に即身仏の調査を行ったきっかけとなった三田村から秘密を解き明かしたと手紙が来る。那智はその即身仏の組織から偽物であることを知っていた。
 三田村の娘から2日前から行方不明になっているという連絡が入る。
「御蔭講」
 那智の研究室に違う学部の研究室にいた佐江由美子が助手としてやってくる。佐江はある村に伝わる御蔭講はわらしべ長者の変形ではないかと考えていた。
 佐江の前の三神研究室の助手目良が佐江を返してくれと内藤に迫る。佐江から、目良は欲しいものを手に入れるためには一番大事にしているものを手放さなければならないと考えている人間だという。
 内藤は目良が昆虫標本店へ入るのを見る。那智が公園で目良に襲われるがガードしていた警官に逮捕される。
(ネタバレ)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
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