
'03年11月刊
15年前、真壁修一は法学部で学ぶ学生だったが、双子の弟啓二が盗みに走ったことを悲観した母親が家に火を放って無理心中を図ったため、弟と両親を亡くしていた。その後定職にも就かずノビ師(寝静まった民家から盗みを働く)として生きていた。正義漢ぶらないんだけど腑に落ちないことをノビの技を使って調べ真相を解明する。修一と啓二がかつて奪い合った久子という女性がいて、今は保母をしながら修一を待っている。
修一の頭の中には啓二が住みついており時折修一に話しかける。生前からの啓二の才能は生きていて、目に入れた数字(カレンダー、紙幣番号etc)は瞬時に記憶できる。二重人格ってことじゃなくて心の中に啓二が残っていてかつ啓二が側にいるって感じなんだろうな。突き詰めれば説明がつかないのかもしれないけどそういう設定ってことでいいんじゃないかな。
修一をもう少しスマートに描いてもよかったのかなって気がする。移動手段が自転車ってのが野暮ったく感じたのかなぁ。久子がそこまで惚れるカッコよさもあってよかった気がする。
表題の「影踏み」は自分と啓二の関係を象徴している。同じことを考え同じものを望む二人を。最後に15年前の事件の真相が明らかにされる。
(消息)
刑務所を出所した修一は自分が捕まる原因となった稲村葉子を調べ始める。入った部屋の状況から葉子は家に火を着けようとしていたのではないかという疑問を持っていた。修一が捕まった後、葉子の夫が保証人となった人間が借金を残して行方をくらまし自分もリストラに合い借金の形に家財道具が競売にかけられた後離婚していた。調べている内にその競売にはヤクザが絡んでいることが分かる。保険金殺人をしようとしながら、その後ヤクザもついていたのに止めたことに疑問を持つ。子供の頃修一の同級生だった刑事の吉川を訪ねる。
(刻印)
刑事の吉川が溺死体で発見される。修一も容疑者とされるが事情聴取の中で稲村葉子も容疑者とされていたがスナックの客がアリバイを証明したことを聞く。その客が刑事にとって「神様みたいなヒゲ(議員や役人)」との言葉から判事ではないかとあたりをつける。競売師の大室を訪ね葉子の競売の執行官が轟木と聞き接点を見出す。
(抱擁)
久子の幼なじみの三沢玲子が修一を探し出し、久子が勤める保育園の事務室から積立金が盗まれ、久子が疑われピンチだと告げる。近くにいたとされる高齢の泥棒清太郎を問い詰めると自分がやったと自白するが証拠がなく見栄を張っただけと考える。
(業火)
同業の三崎から盗人狩りが行われていると聞く修一。盗んではならないものを盗んだやつがいると感じる中、修一も襲われる。襲われた理由、盗人狩りを仕掛けた「ジゴロ」の正体を知るために動く修一。盗人狩りの原因と思われる重原昌男の自宅を探るうちに通りすがりの老婆から状況を聞き出す。修一を襲ったヤクザが自分を見逃したことから自分の容疑がはれたと思う。
(使徒)
刑務所の中で同業者の娘で孤児の恵美のためにサンタクロースの役を頼まれた修一はクリスマスイブに恵美が預けられている家に忍び込みプレゼントを置いてくる。家から出ると警察官と思われる人影を見つける。
(遺言)
盗人狩りで襲われた黛がうわごとに修一の名を呼ぶと聞き見舞いに行くが亡くなってしまう。入院中うわごとに業界用語の他、「父ちゃん、行っちゃやだよ、父ちゃん」と言ったことを聞く。修一は黛の泥棒日記から父親の手がかりを探す。
(行方)
久子が見合いした相手からストーカー行為を受けていると修一に相談に来る。相手は一卵性双生児の弟久能次朗で、久子は一度デートの時兄新一郎が来たことによって交際を断ったため、新一郎から次朗との結婚を脅迫されていた。修一は新一郎を追う。
(ネタバレ)
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