
00年10月刊
「陰の季節」に続く、横山秀夫の第二作品集。
表題作「動機」が日本推理作家協会賞受賞作だったり評価は高いみたいだけど個人的には「ネタ元」かな。話の展開がうまい。何の事件なのかが明かされないうちに新聞編集の内幕、女性記者水島の内面の葛藤が描かれ後半に主題が出てくる。話の軸が次第に移りながら全体が見えてくる書き方が気持ちよかった(でもオチは弱いかも)。
少し文章が固いけど感じとして佐野洋の作風に似てるかも。あの人も確か記者上がりだったし。
(動機)
警察署内から30冊の警察手帳が紛失した。県警本部警務課調査官貝瀬が、紛失事故を防ぐ為に一括管理を提言したのだったのだがそれがアダとなり、一転窮地に追いやられる。この提言に反感を持つ者の嫌がらせか、外部の犯行か、それとも・・・。
警察署で外部犯行の可能性なんてあるのかな?途中でなんとなく動機(伏線)は分かる。昔新潟であったポット毒物混入事件を思い出した。だから貝瀬が動機にたどり着いたのはちょっとストレートすぎる気もするけど。ただ貝瀬が犯人・動機を見越して取った行動は秀逸。犯人検挙ではなく問題解決の手法として一歩身を引いている。自分もそうなれればいいけど、やっぱり「こいつだ」って言っちゃうんだろうな。大人になんなきゃ。
(逆転の夏)
殺人を犯し12年刑務所にいた山本。出所し、自分の過去を知られることを恐れつつ葬儀会社で働く彼の元に、ある日 「人を殺してくれないか」という電話がかかってくる。 相手は山本なら気持ちを分かってくれるはずという。山本の殺人は声をかけてきた女子高生に強請られた果ての衝動的犯行であった。別れた妻子への仕送りのため心動かされる。
自分の過去を漏らす社長の野崎、死んだ父とシベリアに抑留されていたという保護司及川、事件以来会っていない妻の静江。それぞれがそれぞれの思いを抱いて生きている。
(ネタ元)
地元紙の女性記者である水島は新聞の部数争いに勝つため特ダネを求められる。「女性」と言う事が時に足かせになる水島には、誰にも知られていない「ネタ元」がいた。
(密室の人)
公判中に居眠りをした裁判官。しかも寝言で妻の名前を呼んだという。新聞がそのことを記事にするといい楠木所長から強くなじられる。妻美和とは前妻康江の茶会の席で出会い康江の死後入籍していた。