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2011-06-04 23:57 | カテゴリ:伊坂幸太郎
モダンタイムス (Morning NOVELS)'08年10月刊
 全力疾走した短い話を積み重ねたような小説ってあとがきにも書いてあるけどそんな感じ。雑誌「モーニング」に連載していた作品だからそうなったのかな。連作短編集ではないけど展開が詰まってる。確かに情景描写的な部分は少ないな。それでも500ページ以上あるからそれだけ濃い。「ゴールデンスランバー」と平行して書かれたらしいけど伊坂お得意のカットバック的な書き方はなく一直線に進んでいく。「ゴールデンスランバー」同様背後にある大きなものの存在を意識するけどそれにたどり着けずに終わる。結局それは具体的な何かではなく「個人の思惑や欲望で、大勢の人間の状況が絡み合」い、「それで世界は進んでいく」流れなんだろうな。
 「魔王」の完結篇ていう事らしい。安藤潤也もすでに死んでいるが妻詩織は登場する。潤也はこの作品の過去の事件の関係者と接点を持つ人物として登場し、潤也が設立した「安藤商会」もこの小説の重要な役割を果たしている。この作品は 「魔王」同様、超能力まがいだけどそれがはっきりあるという前提では話は進んでいない。
 キャラが立ってるってのはこういう事を言うのかってくらい個性派ぞろい。主人公渡辺巧海の妻佳代子も最初は表に出てこず謎めいた存在だけど中盤以降その能力(超ではなくて)を発揮して重要な役割を果たしていく。佳代子から拓海の浮気を白状させるよう雇われ拓海に拷問をしかける岡本も、いつの間にか巧海サイドにいる。この手の人物が半分味方になるってのも伊坂のパターンて感じがする。拓海の友人で作家の井坂好太郎も、名前を考えるのが面倒だったからってあとがきに書いてあるけどやっぱり意識するな。岸辺露伴的な感じか。

(あらすじ)
 SE渡辺拓海は会社の先輩である五反田が失踪したことからその代役として、ある会社から依頼を受けたシステム改良を同僚の大石と共に始めるが、拓海は五反田の居場所を探し出そうとする3人組の男から暴行を受ける。同僚の大石から、依頼を受けたプログラムは「播磨崎中学校、個別カウンセリング、安藤商会」と検索してサイトへたどり着いた人を見つけようとしていることを聞かされる。その言葉を検索した大石は集団暴行事件の主犯として逮捕され、上司の加藤課長は自殺し、妻の依頼で拓海を拷問しようとしていた安藤は家が焼かれ拷問を受ける。拓海の友人で作家の井坂が「播磨崎中学校事件」をモチーフにした小説を書いたと聞き、拓海はこれらの言葉の関連を調べ始める。
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【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
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2010-06-18 23:11 | カテゴリ:伊坂幸太郎
魔王'05年10月刊

 表題作「魔王」とその後を描いた「呼吸」の2作からなる連作小説。
 「魔王」は例のあれですね。シューベルトの「お父さん、お父さん、魔王のささやきが聞こえないの?」の「魔王」。世の中の何かが迫っていることに対して主人公安藤が自分だけが気付いていることを重ね合わせて思う場面からつけられている。帯には「世の中の流れに立ち向かおうとした、ある兄弟の孤独への闘い」とある。実際は兄弟だけではなくて二人を取り巻く人はいるんだけどね。
 
(あらすじ)
「魔王」
 会社で働く安藤は早くして両親を事故で亡くし弟の潤也と共に生きてきた。ある日自分の思ったことが別の人の口から発せられていることに気付く。その頃世間では中国やアメリカに対しての排他運動が広がりつつあり、政治の世界においては若き代議士犬養が大衆の支持を集め次期リーダーと目されていた。世の中の動きが危険な状態と感じた安藤は犬養が街頭演説をすることを聞きつけ、信用を失わせる発言をさせることを試みるが、押し潰されそうな胸の痛みを感じその場に倒れる。
「呼吸」
 安藤の死から5年後、弟の潤也は詩織と結婚し仙台で暮らしていた。犬養は首相となり憲法改正の国民投票日が近づいていた。犬養は自分に不利益になることも変えていったが反対する議員は病死等で姿を消していた。潤也は兄の死を犬養の能力のせいではないかと考え始める。犬養とムッソリーニを重ね合わせた会話の中で、ムッソリーニが恋人のクラレッタと共に処刑された時、逆さ釣りにされたクラレッタのスカートがめくれたのを自分のベルトでめくれないようにしてあげた人の話をし、潤也は自分もそういう人になりたいと言う。
 ある日、潤也はじゃんけんで勝ち続けていることに気付き、その能力を競馬で試し最終レースでは外すが、確率が10分の1以下の時に有効なのではないかと考える。兄の友人の島から、意思と金があれば国だって動かせると言われ、1人で東京へ言ってくると詩織に告げる。
 国民投票の日、詩織は潤也の1億2千万円もの通帳を見つける。詩織は潤也に、クラレッタのスカートを直す時は私も一緒に直すと告げる。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
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2008-05-25 22:56 | カテゴリ:伊坂幸太郎
第四部 事件
 金田首相の凱旋パレードが行われている日に、元配送員の青柳雅春は旧友の森田森吾に仙台駅の東口に呼び出されていた。2ヶ月前、青柳が電車で痴漢に間違えられた時に偶然居合わせた森田が連れて逃げたことにも関係あるという。そこで森田から大学時代に恋人だった樋口晴子が結婚したことを聞かされる。
 森田は、会社での嫌がらせも痴漢に間違えられたのも仕組まれていると告げる。森田は借金を帳消しにすると言われ青柳を痴漢から逃がしたりここへ連れてこいと命令されたことを告白する。どこかで爆発音がし、森田は青柳に逃げろと言う。首相が爆死したと聞いたとき背後で爆発音が聞こえ、青柳は拳銃をもった警官に追われる。
 学生時代轟煙火でバイトしたがそれは雪掻きや工場清掃程度であった。
 井ノ原小梅とはハローワークで偶然知り合い、小梅が買ったラジコンヘリを青柳が預かっていた。
 警察に捕まり護送される最中軽自動車が突っ込んでくる。運転席から黒いパーカーの男が出てき、青柳を連行しようとしていた警官をナイフで刺す。その間に青柳は逃げ出すが黒いパーカーの男は通り魔の三浦だった。
  青柳が首相暗殺の犯人とされていること知った樋口晴子は青柳の報道に違和感を感じ警察の目をかいくぐりながらかつて青柳と乗ったポンコツ車のバッテリーを替える。
 青柳は自分そっくりに整形手術をした医者を見つけたとの情報を三浦が得てその病院に駆けつけるがそれは罠であり三浦はその罠により死んでしまう。
(ネタバレ)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:本の紹介
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2008-05-17 22:46 | カテゴリ:伊坂幸太郎
ゴールデンスランバー'07年11月刊
2008年本屋大賞受賞作

 第一~三部を読んだ時は少しトーンを変えたかなって思ったけど第四部以降は伊坂ワールド。首相殺しの容疑者とされた青柳雅春の現在と過去の風景がカットバックで描かれる。多少ご都合主義的な協力者も現れるけど周到に用意された罠の中をどう逃げ出すか、追われる者と追う者のどうなるどうなるで一気に読めた。報道されている事の裏側に隠されている真実は何であるか。ケネディ大統領暗殺事件は詳しくないけどこんな感じなのかな。
 ラストはすっきりとはしないけどそれでもそれまでの怖さの中でホッとするシーンで終われる。
人のアイデンティティって何かってのも考えさせられる。自分についての嘘の情報を流されて、それは違うと気付いてくれる人がどれだけいるか。見た目以外に何で自分と分かってもらうのか。
 リョコウバトのエピソードも挿入されてた。
 「ゴールデンスランバー」とは直訳すれば「黄金のまどろみ」でビートルズの「アビーロード」に収録されている曲。「アビーロード」は「レットイットビー」の後に収録されたとの事で実質的なラストアルバムだそうで。バラバラになったメンバーの気持ちをひとつにしようとポールが取りまとめたらしい。

(あらすじ)
第一部 事件のはじまり
 樋口晴子は会社の元同僚平野晶と蕎麦屋で再会していた。金田首相パレードの最中、ラジコンのヘリコプターが爆発する場面がTVから流れる。
第二部 事件の視聴者
(一日目)
 病院で田中徹は同室の保土ヶ谷康志と金田首相暗殺事件の報道をTVで見ていた。
(二日目)
 容疑者は青柳雅春と報道され、2年前にアイドルの凛香を暴漢から救ったヒーローともてはやされた人物だった。
 TVでは青柳がラジコンショップに姿を現したこと、花火工場でアルバイトをしそこで爆薬の知識を得たこと、2ヶ月前に電車内で痴漢をはたらいた事などが報道されていた。軽自動車を奪って逃走し乗り捨てた車内からは女性教師が刺殺死体が発見されたことが報じられる。
(三日目)
 仙台市役所前の中央公園で青柳が投降するとして報道陣が集まっていた。そこへ青柳が姿を現す。
第三部 事件から二十年後
 金田首相暗殺の事件の真相は20年後も明らかになっていなかった。後任の首相となった海老沢克男首謀説。野党である労働党主謀説等々憶測が流れていた。一方で金田首相の愛人、ラジコンショップの店主、青柳が救った凛香を襲った暴漢、青柳が痴漢をしたとされる被害者、等関係者が次々と亡くなっていった。事件の真相を捜査していた刑事も事故死していた。彼は「青柳は犯人の濡れ衣を着せられたが当初犯人に仕立てられる予定だったのは別の人間だった」という説を展開していた。
(続く)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:本の紹介
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2007-01-28 22:10 | カテゴリ:伊坂幸太郎
アヒルと鴨のコインロッカー 03年11月刊
 現在と二年前をカットバックで描いた伊坂っぽい作品。
 これはミステリーに入るのか迷うストーリー(こだわることもないんだろうけど)。途中トリック的表現があることが明らかになり徐々に真実が明らかになる。なぜ本屋を襲わなければならなかったのかが謎ってば謎なんだろうけど。「オーデュポン」ほど話の広がりはないけど、琴美たちがどうなるどうなるってとことか雰囲気は似ている。ちなみに「アヒルと鴨」はドルジが琴美にその違いを聞き二人の関係をなぞらえ、似ているけど全然違うものの例えで使われている。
 たまたまブータンを取り上げたTVを見たけど確かにブータン人は日本人ぽい。インドとチベットの間だから場所によっては偏った顔立ちになるのかもしれないけど。でもドルジって言えば朝青龍なんだけどなぁ(関係ない)。

(現在)
 大学入学のため東京へ引っ越してきた椎名はアパートで河崎と名乗る長身の青年から、そのアパートに住む外人に広辞苑をプレゼントするために本屋を襲うことを誘われる。
(二年前)
 ブータン人のドルジとかつて河崎と交際していたことのある琴美はペット殺しの犯人と思われる3人組と遭遇する。ペット殺しを許せない琴美は「警察に言う」と声を上げたため3人組から付け狙われる
(ネタバレ)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
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