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2012-05-26 20:40 | カテゴリ:その他小説
'11年10月刊

 勤めていた出版社で居場所をなくした入江冬子が、大手出版社に勤務する石川聖の勧めでフリーの校閲者になることきっかけに、会社を退職する。たまたま手にしたカルチャースクールのチラシを見て出かけた冬子はそこで三束という男性と出会う。
 女の人がカルチャーセンター行くのに日本酒入れた魔法瓶持って行くかなぁ。朝から缶ビール3本空けるとか。いやそういう人もいるかもしれないけど。
 小説を読む時になんでこういう場面があるんだろうとか、どうしてこういう会話があるんだろうとか思うけど、この人はなんでこんなこと延々と話すんだろうっていう場面が出てくる。日常ではあるだろうけどわざわざ入れる必要があるのかなって。
 そんな軽い疑問が終盤で解き明かされるって言うか絡み合ってくる。12章で今までのぼやっとしていた雰囲気から、冬子と聖が今まで溜まっていた心の内を一気に吐き出し合う。
 校正者である冬子が何度もみた原稿が本になった途端誤植を見つける場面があるけど、あるよねぇ。一通り目を通したはずなのにさらっと見ただけで間違いを見つけること。
 そういうのも含めて途中で我に返らないと違和感なく話は進んでしまう。恋愛話でありながらずっと冬子の視点で描かれるので絡み付く恋愛話ではなく、ちょっと川上弘美っぽいかななんて思ったりした。
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【ジャンル】:本・雑誌 【テーマ】:読んだ本。
2011-02-18 23:03 | カテゴリ:その他小説
つやのよる'10年4月刊

 この人の作品にしては珍しい作りになってる。艶という女性に関わった人の連作小説だけど艶が直接浮かび上がってはこない。ほとんどが艶に直接関わった人の艶の話ではなく話の中に間接的に出てくるという印象である。そのため本の中に艶を探しに行くとちょっと複雑になる気がする。なので単純にその章を短編として読んだ方がいいのかもしれない。珍しいと言ったのはミステリーなんかで取られる手法で、全体のプロットがあるんだろうなって感じさせる小説の分野に入りそうだから。どんな小説にもプロットはある上で書かれるんだろうけど順番に進んでいく話だとそんなことは考えないで読んでる気がする。最終章でそれまでの話がつながりを見せる。
 著者も言ってるけど「ある物語があれば必然的にそこにかかわった人間の数だけの物語がある。」艶に関係を持つ人たちのそれぞれの物語である。

(あらすじ)
「艶の従兄の妻、石田環希(51歳)」
 環希と、作家天馬愛子のせいで編集者を辞め作家になった夫行彦と二人の共通の友人池谷氏とその妻玲子の織りなす物語。
「艶の最初の夫の愛人、橋本湊(29歳)」
 工務店に勤務する湊が社長と関係を持ちながらもアパートのオーナー太田とも関係を持つ。太田の元にかつての妻艶の危篤の連絡が入る。
「艶の愛人だったかもしれない男の妻、橋川サキ子(60歳)」
 総菜屋で働くサキ子は夫仁史を自殺で亡くしていた。艶という女性の夫でマツオと名乗る男から艶危篤の連絡が入る。艶と仁史とは何かの関係があるという。サキ子は艶が入院している病院があるO島へ向かい、艶と仁史は出会い系サイトで知り合った事を聞く。
「艶がストーカーしていた男の恋人、池田百々子(33歳)」
 O島の美容室で働く百々子は恋人の優がかつて身ごもらせた女とその子供に会う。優はかつて艶に言い寄られていたが、艶は危篤状態にあった。
「艶のために父親から捨てられた娘、山田麻千子(20歳)」
 大学生麻千子の父は料亭の板前だったが、麻千子が八歳の時に艶と暮らすために家を出て行き、O島で「レストラン松生」を始めた。麻千子は高畠朗人と遠距離恋愛中だったが安藤教授とも関係を持つ。
「艶を看取った看護師、芳泉杏子(31歳)」
 杏子はレストラン松生で叔母が連れてきた真藤一巳と見合いをしたことを艶に話す。杏子は真藤と交際しながらもかつての交際相手だった雅人を思い起こす。
「艶の最後の夫、松生春二(49歳)」。
 松生は小柄な中学生が浅い川を竿で掻きまわしている光景を見る。竿の先には白いスポーツシューズの片方があった。十年来艶と暮らしてきたが入院のため艶を病院へ送り出す。浜辺で川で見た中学生を見つけ、茅原優の元に母親と一緒に来た子供だということを知る。少年は松生に「艶と結婚してるんだ」と聞く。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
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2010-11-28 23:15 | カテゴリ:その他小説
死ねばいいのに'10年5月刊

 6編からなる連作小説。各編には「1人目」~「6人目」のタイトルがつけられており、各編だけでも成立しているが最終篇はそれまでの話の解決篇になる。
 渡来健也なる青年が、派遣社員をしていた鹿島亜佐美の死亡についてその関係者を訪ね歩き亜佐美について聞いて回る。単純に亜佐美の人となりを聞いて回るだけなのだが、聞いた相手が亜佐美のことより自分のことを考え始め自分のことを話してしまう。亜佐美の派遣先の会社の上司、マンションの隣室の女性、亜佐美の男だったヤクザ、亜佐美の母親、担当刑事、そして・・・。それぞれが亜佐美に対して後ろめたい部分をもっておりそして自分が置かれている状況に不平不満を抱えている。
 健也が殺人事件の探偵役という訳ではない。健也は自分を、頭が悪く馬鹿だし言葉遣いも知らないと言うが返ってそれが相手にストレートな疑問をぶつける。ホントにどうしようもなく、生きている意味がないなら「死ねばいいのに」と言葉を投げかける。しかし実際はそうでもなく死ぬほどのこともなく、問題は自分の中にあることを気付かされる。世の中のしがらみの中でできあがった常識にとらわれて身動きできなくなり思い悩んでいる自分に気付かされる。
《健也語録》
「認められなくたって褒められなくたって、やんなきゃいけねーこときちんとやれてりゃそれで構わねえはずじゃね?」
「才能認めてくれる人が居ねーとか。そういうのって誰かが与えてくれるもん?」
【ジャンル】:本・雑誌 【テーマ】:読んだ本。
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2010-01-03 22:37 | カテゴリ:その他小説
対岸の彼女 '04年11月刊
 第132回直木賞受賞作
 主婦小夜子が仕事を見つけそこで自分の存在意義を見つけ出す姿と小夜子が勤める会社の社長葵の高校時代がカットバックで描かれる作品。普通こういう設定だと小夜子の学生時代なんだろうけどななんて思いながら読み始めた。正直最初高校時代の話は本筋とギャップがあってうざったかったけど同級生ナナコが出てくる辺りから物語性を帯びてくる。ナナコと葵の関係が心地よく感じられた。ちょっと重松清チックな感じもよかったかも。
 途中で引用されてるフランク・シナトラの「観客の心をとらえる方法はひとつしかない。それは誠実かつ謙虚な姿勢で観衆に訴えかけること。」の言葉が心に響いた。

(あらすじ)
 3歳になる娘あかりを抱えた田村小夜子は働きに出ることを決意する。採用が決まったのは旅行会社でありながら清掃業をやる、小夜子と大学が同じ楢橋葵が社長を務める会社「プラチナ・プラネット」だった。
 小夜子はその研修で中里典子という中年女性にしごかれる。連れて行かれた先はどうしたらこれだけ汚せるのかというほどのマンションの一室だった。その後も汚れきった部屋へ連れて行かれ掃除の仕方から客への目配せにいたるまで徹底的にしごかれる。小夜子は広告案の企画を葵に提案し葵も小夜子の自宅を訪問し一緒に広告の案を練る。研修を終えた頃小夜子は仕事と自分に対して自覚を持つようになってきた。あかりの運動会の日、葵が小夜子のチラシによって依頼が来たことを告げに来る。自分がやったことに意味を見出した小夜子は涙を流す。あかりを連れて2人はその日熱海へ向かう。一泊することを誘う葵に小夜子はこのままだと夫を置いて逃げてしまいそうだと断るがその途端葵の態度が変わったことに気付く。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
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2008-01-27 16:40 | カテゴリ:その他小説
宇宙衛生博覧会 (1979年)'79年刊
 この人のっていつくらいから読み始めただろう。「タイムトラベラー(時をかける少女)」や「家族八景」を書いてたなんて知ったのはしばらく経ってだった気がする。
 SFってのはどこまで想像できるかなんだと思う。時間が急速に流れるとどうなるか。時刻表通りに走るバスやボクシングの試合でボクサーが鐘がカンカン鳴る中、立ったり座ったりしている姿を想像するだけで可笑しい。うわごとのように「4時です5時です6時です7時です」と喋り続けるラジオって(「急流」)。
 ちょっとグロテスクなんで想像力豊かな人には敬遠されるかも。クレール星でクレール蟹を貪り食った植民地人を襲った、まるで蟹の甲羅が頬へ張り付けたような奇病。しかもその甲羅が自由自在に取り外しがききその内側にクレール蟹同様美味しい味噌が付着する(「蟹甲せん」)。20センチもの甲殻虫であるランプティ・バンプティを背中につけることによって天才になれる「こぶ天才」。シャラク星のドド豆を圧力なべで調理する際誤って顔に浴びた際の悲惨さを語る「顔面崩壊」。
 一番笑ったのは「関節話法」かな。マザング星の大使に選ばれた津田はマザング星の言語である関節を鳴らしながらの会話を覚える。地球とのトラブルの収拾にあたるが、途中、関節が鳴らなくなり会話が支離滅裂になっていく。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:読書感想文
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