プロフィール

Author:K
なかなか更新ができませんが温かく見守って下さい。


CATEGORY


最近の記事


月別アーカイブ


最近のトラックバック


ブロとも申請フォーム


FC2ブログ
隠蔽捜査'05年9月刊

 ミステリーって言うか警察小説。事件がどうなるっていう事よりギリギリのところで判断を求められる男たちの切迫感が伝わってくる。そんな緊急事態の中、身内に不祥事が起きそれにも対応しなければならない苦悩。そのバランスが絶妙。同期で警視庁の刑事部にいる、かつての小学校の同級生でいじめの親玉だった相手とのやりとりも面白い。
 いわゆる官僚でエリート意識丸出しなんだけど融通が利かなくて職場では社会正義を求めて家のことは奥さんに全部任せてる。保身で多少揺れるけど結局自分の方向を維持する。奥さんもいい味出してるしね。マスコミ、組織内部の人間関係もいい味出してる。もう少し書き込める気がするけどこれくらいの方が読みやすいのか。ただ本庁の課長がどこまで動くんだろうって気はするけど。部下もいるんだし。今回起きたイージス艦漁船衝突事故で大臣も辞任かなんて言ってるけど下の対応が誤るとああいう事態になっちゃうんだろうな。
 民放でドラマ化されてたみたいだけどNHK向きな気がする。竜崎伸也は柴田恭兵あたりかな。
(あらすじ)
 足立区内で殺人事件が起きたことを朝刊で知った警察庁長官官房総務課長竜崎伸也は、第一報が自分のところへ来ていないことに苛立ちを覚える。警視庁刑事部長の伊丹に確認したところ警察庁刑事局には連絡済であり警察庁内部の伝達の問題だと言う。被害者はかつて女子高生殺人の犯人で保釈されたばかりであったが手口からその線での動機ではないだろうとされる。しかしその事件に関わった犯人がさいたま市内で殺害され俄然連続性が注目される。さらに大森署管内で打撲による変死体が発見される。女子高生殺人事件とは無関係の人物だったがかつて少年犯罪で逮捕され社会復帰していたという共通点があった。竜崎は一連の事件の犯行日時にある規則性を見出す。
 一方竜崎は浪人中の長男が吸っているタバコの匂いからヘロインを吸っていることに気付く。身内の犯罪ながら現職を辞さなければならないことを覚悟し伊丹に打ち明ける。
(ネタバレ)

続きを読む »

宇宙衛生博覧会 (1979年)'79年刊
 この人のっていつくらいから読み始めただろう。「タイムトラベラー(時をかける少女)」や「家族八景」を書いてたなんて知ったのはしばらく経ってだった気がする。
 SFってのはどこまで想像できるかなんだと思う。時間が急速に流れるとどうなるか。時刻表通りに走るバスやボクシングの試合でボクサーが鐘がカンカン鳴る中、立ったり座ったりしている姿を想像するだけで可笑しい。うわごとのように「4時です5時です6時です7時です」と喋り続けるラジオって(「急流」)。
 ちょっとグロテスクなんで想像力豊かな人には敬遠されるかも。クレール星でクレール蟹を貪り食った植民地人を襲った、まるで蟹の甲羅が頬へ張り付けたような奇病。しかもその甲羅が自由自在に取り外しがききその内側にクレール蟹同様美味しい味噌が付着する(「蟹甲せん」)。20センチもの甲殻虫であるランプティ・バンプティを背中につけることによって天才になれる「こぶ天才」。シャラク星のドド豆を圧力なべで調理する際誤って顔に浴びた際の悲惨さを語る「顔面崩壊」。
 一番笑ったのは「関節話法」かな。マザング星の大使に選ばれた津田はマザング星の言語である関節を鳴らしながらの会話を覚える。地球とのトラブルの収拾にあたるが、途中、関節が鳴らなくなり会話が支離滅裂になっていく。
'81年10月刊

 えっちぃ(^^;。「阿修羅のごとく」でもそうだったけどそのものズバリって描写じゃなくて間接的に匂わすような描き方をしてる。(隣りの女)では壁一枚隔てた向こうで男が女に上野から谷川岳までの駅名を言っていく。その合間に聞こえる声からただ言ってる訳じゃなくて何かしながらって分かってしまう。こっち側ではそれを壁越しに聞いて自分の体をなでている。(幸福)では行為に匂いが絡んでくる。
 平凡な生活をしてても情熱的って言われる人じゃなくても恋に落ちるんだろうな。色んな形はあるんだろうけど。
 (隣りの女)はサチ子が桃井かおり、素子が浅丘ルリ子でドラマ化されてる。イメージ的には逆だけど。

(隣りの女)
 アパート暮らしのサチ子は会社員の夫と二人暮らし。内職でミシンを踏むサチ子は隣に住む峰子が男を連れ込む声を壁越しに聞いていた。ある日いつもと違う男の声が聞こえ、二人の会話にサチ子も体のほてりを感じる。ふとしたことから峰子のスナックを訪れたサチ子はあの日聞いた男の声を店のカウンターで聞き、麻田という名を知る。
 ある日隣の部屋でガス心中騒ぎが起き、サチ子は麻田の会社に連絡をする。それをきっかけに二人は一度だけ関係を持つ。サチ子は恋をしたと思うが、麻田が自分の財布に3万円入れたことに気付き金で買われたと感じる。お金を返すべく麻田に会いに行くがすでにニューヨークへ旅立っていた。麻田を追いかけてニューヨークへ行ったサチ子は麻田に抱かれお金を返す。一方夫の集太郎はサチ子を探しに峰子のスナックを訪れる。酔ってサチ子の部屋へ行く集太郎だったが峰子を抱きかけて部屋を後にする。

(幸福)
 アパートで洋裁の仕事をしている素子は自分たちを捨てて若い女と出て行った父勇造が倒れたとの知らせを受け恋人の数夫を連れ伊豆へ会いに行く。駆けつけた姉の組子は10年前に数夫の兄に振られた過去を持っていた。その夜素子は機械油の匂いが染み込んだ和夫と腋臭に悩む自分との最初の出会いを思い出しながらも、姉と数夫の間に何もないのか思い巡らす。組子のスナックがオープンした日素子は数夫を連れて店を訪れる。組子が前の店の客に刺される事件が起き入院することになる。病室で数夫と組子が過去に一度関係があったことを話しているの聞いてしまう。ふと腋臭の匂いを嗅ぐがそれは自分ではなく組子からだった。

(胡桃の部屋)
 3年前に会社が倒産したことを隠して若い女と家を出てから父親の代わりとして桃子は一家を支えてきた。父を思い母を思い、妹、弟を思って生きてきたがそれぞれはそれぞれの人生を歩んでいた。

(下駄)
 美術出版社に勤める浩一郎はエラの張った四角い顔から「牌」とあだ名されていた。残業の時いつも出前を取る新陽軒の出前持ちは下駄をならしやってきて骨休めのつもりか会社でぐずぐずしているのが常だった。ある日注文を間違うトラブルが起き浩一郎が救うが、出前持ちに廊下に連れ出される。自分は浩一郎の父親の息子だと告白する。

(春が来た) 
 五回目のデートの時、直子は風見に家族の話をするが見栄を張って話してしまう。デートの途中足を痛めたため風見が家まで送る事になり直子の嘘が露見する。その後風見から連絡が来なくなりあきらめていたが、突然風見が自宅を訪れる。それから毎週風見が来るようになりそれまで自堕落だった家族が変わっていった。
博士の愛した数式'03年7月刊


 原作に答えがちゃんと書いてありましたね。「1975年(博士の記憶がとまった年)、シーズン終了後、南海へトレード」って。(過去の記事)
 数学ネタを字面にするのって苦労したろうなぁ。数学の解説書になりかねないもんね。
 博士の素数好きって映画だとあまり印象にないな。気持ちを落ち着かせようとする時に素数を数えてたのかな?(またジョジョネタ)

 読むのが先か見るのが先かってあるけど、自分にとっては見た方が先でよかったな。読む方が先だと自分のイメージを作っちゃうから映像が違うとがっかりしちゃう。これは結構忠実に作ってると思うけどね。原作では博士はもう少し小さい感じだけど。見た後に映画の解説書みたいに読んじゃったからそういう読み方がどうかってのはあるけど。

新参教師03年刊
 「邂逅の森」で直木賞と山本周五郎賞を同時受賞した熊谷達也の作品なんだけど軽いな。途中から出てくる私立探偵の田中新一なんか直木賞を同時受賞した奥田英朗の伊良部先生に近い匂いがする。主人公が40過ぎで保険会社の支社長って設定なんだからそれなりの書きようもあるはずだからあえてこの線を狙ったんだろうな。
 最近はこういう人が多いのかな?以前の作家だと作風は大体決まってて題材は違っててもこの人だからこういう雰囲気だろうなって分かったもんだけどね。山本周五郎がコミカルなの書かないでしょ。これなんか「邂逅の森」の雰囲気を期待するとちょっとあてが外れちゃう。きらいじゃないし、それぞれの作品が面白ければそれでいいけど、こんなのも書けるんだぞみたいなあざとさを感じてしまう(そういうつもりじゃないんだろうけど)。
 違う世界へ飛び込んだ主人公のちょっとドタバタ風で、犯人探しっていう多少のミステリーの味付けのある作品。
(ストーリー)
 保険会社をリストラされそうな安藤亮太はたまたま目に付いた教員募集に応募し採用される。中学3年の学級担任となるが、着任早々クルマのタイヤは切られるわ税金泥棒と思いたくなる先生はいるわで外から見ていた学校との違いに戸惑う。ある日教育委員会に自分を誹謗する怪文書が送りつけられる。

Powered by FC2 Blog