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2009-06-21 21:50 | カテゴリ:連城三紀彦
造花の蜜'08年10月刊

  厚い本だけど最初から飛ばしてるなぁ。離婚?誘拐?ベールに包まれているものがゆっくりと明らかになっていく。自分を誘拐犯のような目で見る警官。子供を自分に渡したという幼稚園の保母。シックスセンス的な雰囲気も漂わせながら話は進んでいく。
 ただ、この人独特の雰囲気はこの作品にはないなぁ。意外性に重心を置いていて男と女の機微はあんまり描かれていない。前の「人間動物園」もそんな感じだったけど純粋なミステリーに走ってるのかな。
 大きく分けると、誘拐劇(「嘘つきな蜂」~「蜂ミツと蜜バチ」)、その共犯者が語る事件の真相(明らかになる裏に隠された犯罪)(「女王の犯罪」~「罪な造花」)、その1年後全く同じに進む誘拐劇(「最後で最大の犯罪」)の3章立てみたいな感じかな。話としては意外な方向にすすむけど、結構ひっぱるからその間に考えてしまうんで急転直下のどんでん返しって感じではない。伏線も疑問として明示してるし(ただ、ばら撒いて拾い切れてない気もするけど)。
 名前がカタカナで書かれると何か意味があるのかとか考えてしまうし、刑事が他県の事件の捜査へ行くことはないとか、佐野洋が言ってたミステリーは意地悪く読まれるって言葉を思い出す。最初の登場人物にはふりがなが付くって思い込んでるのは自分だけ?
(あらすじ)
 1月27日、白い車が息子の圭太に付きまとっていると感じていた母親の加奈子はスーパーでかつての知り合いであった君江に声を掛けられかつての夫山路将彦がバツ2になったと聞かされる。加奈子は歯科医の山路将彦と離婚し圭太を連れて印刷工場をやっている実家へ戻っていた。その後圭太は何者かに車で連れ去られそうになり、その男は「父親だ」と言ったという。
 そのひと月後幼稚園から、圭太がスズメ蜂に刺され病院に運ばれたとの連絡を受け病院へと向う。その途中違和感を感じ幼稚園に電話したところ圭太は祖母が蜂に刺されたとのことで引き取られて帰ったと言われる。幼稚園へ向った加奈子は担任の高橋先生から加奈子に渡したと言われる。
 誘拐事件と考えられ警察に通報するが犯人と思われる者から電話が入る。
 犯人は身代金の引き渡し場所を渋谷の交差点の真ん中を指定し、後にAB型と判定される血液を目印代わりに交差点にぶちまける。
 犯人は引き渡し直前、身代金の5千万円の内2千万円抜くよう指示してくる。その直後サンタクロースが蜜を交差点にぶちまける。身代金を渡さないまま圭太は無事保護されるがカバンの中のお金が1千万円足りないことに気付く。しかし圭太のリュックから1千万円が出てくる。
(ネタバレ)
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【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
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2008-01-06 16:04 | カテゴリ:連城三紀彦
宵待草夜情―連城三紀彦傑作推理コレクション
'83年刊
 連城ミステリーのNo.1だと思う作品集。男と女の関係を描きながらミステリーとしても遜色ない。作品順に心情重視からミステリー重視へバランスがシフトしていってる気がする。「能師の妻」では後妻に入った篠が継子貢に能師としての技量を叩き込むため厳しい稽古をつける一方、母子とも男女ともつかない強い思いを描いており、その結末としてひとつのトリックが使われている。「野辺の露」は連城お得意の「実は」ストーリー。ずっと寄せていた義姉に対する想いを綴りながら真実に気付いていく。表題作「宵待草夜情」も命儚い者達の淡い望みを重ね合わせて描いている。伏線も散りばめられており、読み返すとなるほどと思わせる。「未完の盛装」はそれまでの作品に比べると欲望が色濃く描かれミステリートリック度を強く描いた作品。表現が難しいはずなんだけど視点がブレることなく描かれている。明治中期から戦後まで時代を背景に描かれているけどこの時期の作品を書かせたらやっぱりうまいね。

「能師の妻」
 能師藤井信雅は鷹場伯爵の援助を受けていたが伯爵の洋行と共に不運に見舞われ家族を次々と失う。自身も脚を痛めたため、まだ16才の次男の貢に自分が舞うはずだった「井筒」を帰国した伯爵の前で舞わせ絶賛される。しかし貢はその3日後に失踪し10日後に変死体で発見される。神社境内の桜の木の下から貢の体の一部が発見され、そこで義母の篠の姿を見たとの証言する者が現れ篠が犯人とされる。警官が藤井家に踏み込むが自供を記した手紙を残し、篠は失踪しその後行方不明となる。

「野辺の露」
 兄の妻杉乃に想いを寄せる順吉は兄の入院中に杉乃と関係を持ち暁介が生まれ兄の子として育てられるがやがて兄の知るところとなる。兄は弟との縁を切り杉野とその子暁介に冷たい仕打ちをし妾の家に入り浸り妾の方の子供ばかりを可愛がっていた。ある日暁介が順吉を訪ねて来、その後泥酔し父親を刺し殺したとして逮捕される。

「宵待草夜情」
 カフェ「入船亭」に入った古宮は女給土田鈴子と親しくなり通い始める。同じカフェの女給照代と恋仲だった稲田が鈴子に心変わりしたことを恨みに持って、照代は進んでいた鈴子の結婚話を邪魔するようになり相手も疎遠になっていたと聞く。古宮はかつて友人白河が自らの命を削って描き上げた絵に真紅の絵具を塗りつけ白河を画壇から絵を葬った。東京へ出ようと決意した古宮は鈴子に宵待草を描いた扇を渡そうと入船亭を訪ね店から出てくるのを待っていたが鈴子が着物の袖を赤く染めて出てきたのを見つけ店へ入ると照代が死んでいた。鈴子に渡そうとした扇に鈴子は古宮の吐いた血を指につけ切る。

「花虐の賦」
 病床の夫と子供を捨て女優として開花した川路鴇子こと津田タミは演劇の師である絹川幹蔵と師弟の関係にありながら男女の関係にあった。舞台「傀儡有情」の成功により「佳人座」に大きな展望がひらけた最中、絹川が突然自害し、周囲ではその理由がまったく分からなかった。絹川の四十九日に鴇子も同じ千代橋上で自害し、後追い自殺と見られた。

「未完の盛装」
 戦地から夫が帰って来たが、既に闇物資の仲買人である吉野と関係ができていた葉子にとっては邪魔な存在だった。病床に伏せることになった葉子の夫に吉野も業を煮やし吉野は葉子に薬を渡し、その一週間後夫は葉子の目の前で死ぬ。医者の田口を呼ぶが何も言わず死亡を確認する。葉子は吉野に夫を殺したことと桜井という刑事が来て吉野が葉子に薬壜を渡したところを見たという葉書が来たと訪ねて来たことを告げる。その年末新宿に店を持った葉子の前に桜井があの時の薬壜を持って現れる。
 それから十五年後吉野は、赤松弁護士事務所を訪ね、あの事件を知った女給の歌江から脅迫されているがもう時効である事を話してもらいたいと依頼する。歌江は十二年前の事件として手紙をもらったという。一方で桜井も脅迫を続けており警察に時効まであと三日だと電話する。死亡日を証言できる田口医師も殺害される。
(ネタバレ)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
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2007-12-09 09:40 | カテゴリ:連城三紀彦
 '84年9月刊
 この人の作品のおもしろさって意外性っていうかどんでん返しの妙にあると思う。よく考えるとそんなムチャなって設定もあるけどそれが気持ちよかったりする。ここでいうと(花衣の客)がそれに当たるかな。この短編集はどんでん返しの連作って訳じゃないけど意外性があって話の中の一つ一つのエピソードが伏線となって後で生きてくる。
 あ、それと明治~大正期の情景を描かせるとうまい。時間の流れが時代物と現代物のちょうど中間に感じられるのが心地よい。
ちょっと物悲しい雰囲気も独特だよね。(炎)ではアリバイトリックっぽいのが使われるけどそれがメインではなく生きる甲斐を見失った男と女の心の重なりが儚く描かれる。
 また道具がモチーフとして使われている。(瓦斯灯)の花簪、(花衣の客)の蝋月(白いしたたりのある茶碗)、(炎)の懐中時計とランプ。どれも物語の重要な役割と雰囲気作りに一役買ってる。
 (親愛なるエス君へ)は他の作品とはちょっと異なる。たまにこう言う異色な作品が混じることがある。これも意外性はあるけどちょっとムチャかな。もうこんな事件があったことを覚えてる人も少ないんだろうな。

(瓦斯灯)
 人を殺め監獄へ入った亭主の佳助の出所を待つ峰は内職程度に針で生計をたてていた。生まれ育った深川へ戻った峰は幼馴染でかつて夫婦の契りを交わしながらある事情で裏切る形となった倉田安蔵とひょんなことから再会する。安蔵は瓦斯灯に夕方に火を点け朝に火を消す点灯夫の仕事をしていた。
 峰の一人娘千代も安蔵になつき千代が安蔵からもらった花簪を目にした時、峰は子供の頃安蔵が自分のために簪を盗んでくれたことを思い出していた。
 安蔵を裏切ることとなった事情とは峰の父親が集金袋を盗まれ、それを都合してもらう代わりに峰が身売りするようにそこへ嫁いだのであった。
 峰は安蔵との復縁を望み安蔵にそれとなく申し出る。安蔵は峰がかつて裏切ったことを口にするが承諾する。峰の父親の金が盗まれた時自分を疑ったかを聞くが峰は否定する。
 一緒に暮らすようになったある日、千代が安蔵からもらった簪が盗品だと分かり安蔵の盗癖は身に染み付いた悪癖ではないかと疑う。台風一過の日、安蔵の家を訪ねた峰は骨壷の中の二百円を見つける。峰はそれは父親が盗まれた金に間違いないと確信する。

(花衣の客)
 紫津は、かつて自分の母親と関係を持ち一度は心中事件をも起こした飯倉健蔵の死に際に立ち会っていた。飯倉は月に一度父の遺品の骨董を見に母の下へ来る者の一人だった。飯倉の妻が紫津の母を訪ねたことがあり、それ以来飯倉の妻は母に高価なしかし派手すぎるくらいの着物を送ってきた。母はその着物を仕立て直して飯倉が訪れる時には必ず着ていた。二度目に訪れた時、帰りがけに母に似ていると言われ頬を打たれる。その十日後母は飯倉と心中事件を起こし命を落とす。その後紫津は月に一度の飯倉との逢瀬のために22年間生きたが飯倉は紫津に触れることはなかった。その22年間紫津は死んだ母と戦い続けていた。

(炎)
 戦地へ向かう前の日に娼家へあがった辰治は自分の命を諦めているなら自分を道連れにしてくれと女から言われる。ひと眠りした辰治の懐中時計は9時少し前を指していた。その後、女が、客で来ていた竜三という男を送り出す姿を見かける。辰治の時計が零時を回る頃刑事が訪ねてくる。竜三のアリバイを聞かれるが女は9時に出て行ったと証言する。女は辰治に証言を求めるが辰治はその男なら10時に出て行ったと証言する。

(火箭)
 美術誌の編集に携わる野上秋彦は戦後の画壇の重鎮伊織周蔵の葬儀の後、遺作である「火矢」を目にするがそのほとんどが黒一色に塗り潰されておりそこに一本の火矢が描かれただけの絵であった。野上は伊織夫人の彰子から奈良へ誘われる。二人は一年前から関係を持っていた。彰子から、伊織の死は自殺で二人の関係を知っており「火矢」には火に焼かれ苦しむ二人が描かれていたが自分が黒く塗り潰したと告白される。

(親愛なるエス君へ)
 当時パリで話題となった事件を起こしたエス君への書簡体形式の一人称で語られる。エス君を”親愛なる友”として共感を覚える自分は、車で人を轢き、助け出そうとした自分をも撥ねた女に入院先の病院の女医として出会い、生け贄とすることに決める。彼女をホテルに招きいれた自分は風呂場で斧を振り上げる。

(ネタバレ)
2006-06-09 21:00 | カテゴリ:連城三紀彦
 表題作を含む8作の短編集  平成6年刊
この人元々はミステリー出身なんだけど「恋文」で直木賞取ったりしたから恋愛系の作家だと思ってる人が多いみたい。でもやっぱりミステリーの匂いのする小説が多いんだよね。女と男の物語なんだけど最後に意外な事実が明かされるってのはやっぱりミステリーなんだろうな。

「それぞれの女が……」
 幸子は愛人関係にある矢辻周平の妻萩江から矢辻の死を知らされる。夫の浮気と姑との関係に離婚を考える厚美と夫の浮気を伝えるその母香津。二組の女性のやりとりと思いが折り重なって描かれる。
「夢の余白」
 息子の浮気を知った母親と嫁。13年前に母と別れた父と会う息子。二組の会話によってそれぞれの胸の内が明らかになる。
「裏葉」
 娘の見合いの席で「裏葉草」の一言で相手が30年前の不倫相手の妻と息子であることに気づく。
「薄紅の糸」
 父親の男手ひとつで育てられた進ニは父親の葬儀の場で亡き父を回想する。
父親の上役の娘との婚約を反故にして通子との結婚を選択。しかしその通子から父親の交際相手を告げられ、さらに進二との別れを告げられる。
「黒い月」
 上司と2年越しの不倫を続けている由子は上司の妻千枝子から夫の浮気相手になって欲しいと頼まれる。由子は二人の関係を知られたと感じるが千枝子は自殺を図る。
「普通の女」
 自分の浮気が原因で子供を連れ離婚届を置いて出て行った妻。昔妻を捨てたという画家佐田を訪ねてみようと思った。
「遠火」
 広田の元へかつての浮気相手野瀬津木子の死亡通知が届く。その半年後彼女の夫野瀬康三が広田に面会を申し出る。津木子は自分との結婚後も広田を思い続け、広田に送ろうとしていた離婚届を大事に持っていたと告げる。その思いを遂げさせるために広田に離婚を迫る。
「前夜祭」
 かつての部下であり独立した白川、突然結婚を言い出した娘の美奈、会社を一年で辞めた息子の数也、かつての友人の妻で真山が一度だけ関係を持った田桐清恵、白川と関係のある妻。それぞれが突然失踪した真山について語る。

(ネタバレ)
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:ミステリ
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