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夜明けの街で'07年6月刊

 帯にあった「衝撃のラストシーン」はありませんでした(人によって取り方が違うんだろうけど)。ミステリーって言うかそういう要素を含んだ不倫への問題提起的な作品。
 どうしてこの秋葉って娘に惹かれるのか分かんなかった。美人なだけで、旦那が浮気したら殺すだとか、人の上着を汚したことに謝りもしないで弁償すればいいって思ってる(謝らない事に理由があるって言ってるけどそれがなんだか分からなかった)ような娘に。

 この渡部みたくなく家族とのバランスなんかいちいち考えないで割り切ってる男もいるんだろうけどね。家庭にいて幸せだと思っているようなら不倫なんてすべきじゃないな。(男の場合)それと同じかそれ以上の幸せとか愛情を注ぐことができて初めて成立するんだと思う(知ったようなことを(^^;)。
 もし不倫相手が犯罪者かも知れなかったらどうする?単なる浮気だったら尻まくってさよならなんだろうな。犯罪を犯したことより犯罪を犯す性格なのかが問題なんだろうけど。この秋葉の場合だったら事情は想像できるし。不倫相手だろうがなんだろうが愛した人がそうだった時に一緒に背負っていけるかって言う問題なんだ思う。
 
(あらすじ)
 建設会社に勤務する渡部は派遣社員の仲西秋葉とふとしたきっかけから不倫関係になる。秋葉の自宅を訪れた渡部はその家で15年前に父親の秘書であった本条麗子が殺されたことを秋葉から聞かされる。外部から侵入した者の犯行とされていたが、その時家にいたのは秋葉だけであり父親の恋人でもあった麗子が母を奪った(自殺した)ことへの恨みが動機として周囲は秋葉を犯人と疑っていた。来年の3月31日が時効の日であり、その日になれば全てを話せると秋葉が言っていたことを渡部は思い出す。

(ネタバレ)

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悪意'96年9月刊

(あらすじ)
 容疑者野々口修の手記と刑事加賀恭一郎の独白で綴られる殺人事件。元中学教師で児童作家の野々口修はベストセラー作家日高邦彦とは幼なじみで日高のコネで出版社を紹介してもらい作家なって以来交際を続けていた。ある日、日高が撲殺死体で発見される。

 比較的早い段階で野々口が容疑者とされるが犯人探しよりも動機探しに重点が置かれた作品。
 小説を読みながら何でこんな描写があるんだろうって思う時がある。ここで言えば、日高が迷い猫を毒ダンゴで殺す話や日高の作品で幼い頃のいじめをテーマに書いた小説のモデルとなった男の家族が抗議するエピソード。この作品ではそれぞれが重要な意味を持っている。また作品の表現方法として、手記という形式を取ったことにも大きな意味があった。
(ネタバレ)

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赤い指06年7月刊

 ミステリーとしてのプロットだけで言えば短編で収まるような作品。ただその裏には親子の感情の問題が描かれている。幼い頃から世話をしてもらった叔父加賀隆正に倣い警察官になった松宮脩平。その隆正が癌に冒されている事を知りながら見舞いに来ない刑事で長男の加賀恭一郎。二人が組んで少女殺しの捜査に当たる。息子を溺愛する母八重子。認知症の母親政恵と向き合おうとしない夫の前原昭夫。二人が長男の犯した罪の隠蔽を図る。それぞれは直接結びつかないがそれぞれの思いが交錯していく。松原夫婦に何とか救いを求めようと読み進めたけどやっぱり犯罪者(悪人)でくくられてしまう気がする。
(ネタバレ)

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片想い
 毎年開かれている大学時代のアメフト部の集会の後、当時マネージャーだった美月が姿を現す。元QBの西脇哲朗に、ずっと性同一障害であったこと、自分がバーテンをしている店の女につきまとっていたストーカーを殺したことを告白する。

 読み始めたときは美月を守る話が延々と続くのかと思ったけど(そんなはずはない(^^;)、3分の2くらい進んだ所で一気に謎も真実も秘密も明らかになり結末を迎える。
 元マネージャーで哲朗の妻となったカメラマンの高倉理沙子、新聞記者のTE早田、かつて美月と交際し重役の娘と結婚したRB中尾等々当時の部員達それぞれが様々な思いや秘密を抱いて生きてきた事が明らかになる。
 もう一度読み返すと伏線が散りばめられてなるほどと思わせる。

 トリックというほどではないけど人間の入れ替わりが使われていて、その苦労が描かれている。別人に成り代わる事は難しく、現実の世界ではやっぱり簡単に人が入れ替わるなんてできないんだろうなぁ。ミステリーだとそこまでリアリティを求められるんだろうな。でも性同一障害のマネージャーの同級生の母親も性同一障害ってのは設定として偶然過ぎる気がするけど(連城三紀彦の不倫物に匹敵する)。

 なんでこんな特殊な設定を使うかなって思ったけど、女とはこうあるべきだと考える哲朗に男と女をさまよう美月を対比する事で絶対はないんだって言いたかったんじゃないかな(強引(^^;)

(ネタバレ)

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