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2012-05-26 20:40 | カテゴリ:その他小説
'11年10月刊

 勤めていた出版社で居場所をなくした入江冬子が、大手出版社に勤務する石川聖の勧めでフリーの校閲者になることきっかけに、会社を退職する。たまたま手にしたカルチャースクールのチラシを見て出かけた冬子はそこで三束という男性と出会う。
 女の人がカルチャーセンター行くのに日本酒入れた魔法瓶持って行くかなぁ。朝から缶ビール3本空けるとか。いやそういう人もいるかもしれないけど。
 小説を読む時になんでこういう場面があるんだろうとか、どうしてこういう会話があるんだろうとか思うけど、この人はなんでこんなこと延々と話すんだろうっていう場面が出てくる。日常ではあるだろうけどわざわざ入れる必要があるのかなって。
 そんな軽い疑問が終盤で解き明かされるって言うか絡み合ってくる。12章で今までのぼやっとしていた雰囲気から、冬子と聖が今まで溜まっていた心の内を一気に吐き出し合う。
 校正者である冬子が何度もみた原稿が本になった途端誤植を見つける場面があるけど、あるよねぇ。一通り目を通したはずなのにさらっと見ただけで間違いを見つけること。
 そういうのも含めて途中で我に返らないと違和感なく話は進んでしまう。恋愛話でありながらずっと冬子の視点で描かれるので絡み付く恋愛話ではなく、ちょっと川上弘美っぽいかななんて思ったりした。
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【ジャンル】:本・雑誌 【テーマ】:読んだ本。
2011-09-19 19:56 | カテゴリ:宮部みゆき
小暮写眞館 (100周年書き下ろし)'10年5月刊
 この本を選ぶ人はどんな話を期待して手に取るんだろう?「小暮写眞館」っていうタイトルと菜の花畑の表紙と帯からどんな物語を想像するんだろう?宮部みゆきだから何でもない話じゃないなって思うのかな。こちらはてっきり写真館に出入りする客と写真館との人との交流と日々のドラマが繰り広げられるんだろうと勝手に思ってた。ところがこの写真館はすでに閉鎖されており、空家となっていたものを花菱家が買い取ったところから話は始まる。だから写真館に写真を撮りに来る人も、現像を頼みに来る人もいない。主人公は花菱家の長男で高校一年の英一。家族からも友人からも「花ちゃん」と呼ばれている。
第一話は女子高生が持ち込んだ、小暮写真館の封筒に入った写真を巡っての話。当然花菱家には関係ないが小暮写真館の看板が掲げられているこの店に責任があると女子高生は押し付けていく。それはあるべきではないところに女性の顔が写ったスナップ写真だった。英一はその写真に写った女性を探し歩く。登場人物は英一の高校の友人が大半なのでジュブナイルって言われてもおかしくない。心霊写真と高校生中心の話でその時点で想像してたのとはかけ離れてた。でも単に勝手に想像してた設定と違っただけで物語自体は楽しめた。小暮写真館の主の幽霊の影がちらちら出るけど決して暗い感じでは進まない。
第二話は英一が写真の調査をしたことを聞きつけた高校の先輩から写真の調査を依頼される。そこには依頼主を含む4人の笑顔と依頼主を除く3人の泣き顔が一緒に写っていた。第三話も不思議な写真の話。黄色い鳥の人形のようなものが飛んでいるのが写った写真。これだけ見るとそう言ったたぐいのミステリーかと思うけど(まあそうなんだけど)、バランス的にはそんな不思議物語ではない。英一が調査を進めていくことで人のつながりが見えてくる。英一の弟の光とその間にいたはずの幼くして亡くなった妹風子の死に際の真実。風子の死亡以来断絶した父秀夫の親族。英一が恋心を抱く(多分)不動産屋の女性事務員、垣本順子。第四話ですべての思いが爆発する。
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2011-06-04 23:57 | カテゴリ:伊坂幸太郎
モダンタイムス (Morning NOVELS)'08年10月刊
 全力疾走した短い話を積み重ねたような小説ってあとがきにも書いてあるけどそんな感じ。雑誌「モーニング」に連載していた作品だからそうなったのかな。連作短編集ではないけど展開が詰まってる。確かに情景描写的な部分は少ないな。それでも500ページ以上あるからそれだけ濃い。「ゴールデンスランバー」と平行して書かれたらしいけど伊坂お得意のカットバック的な書き方はなく一直線に進んでいく。「ゴールデンスランバー」同様背後にある大きなものの存在を意識するけどそれにたどり着けずに終わる。結局それは具体的な何かではなく「個人の思惑や欲望で、大勢の人間の状況が絡み合」い、「それで世界は進んでいく」流れなんだろうな。
 「魔王」の完結篇ていう事らしい。安藤潤也もすでに死んでいるが妻詩織は登場する。潤也はこの作品の過去の事件の関係者と接点を持つ人物として登場し、潤也が設立した「安藤商会」もこの小説の重要な役割を果たしている。この作品は 「魔王」同様、超能力まがいだけどそれがはっきりあるという前提では話は進んでいない。
 キャラが立ってるってのはこういう事を言うのかってくらい個性派ぞろい。主人公渡辺巧海の妻佳代子も最初は表に出てこず謎めいた存在だけど中盤以降その能力(超ではなくて)を発揮して重要な役割を果たしていく。佳代子から拓海の浮気を白状させるよう雇われ拓海に拷問をしかける岡本も、いつの間にか巧海サイドにいる。この手の人物が半分味方になるってのも伊坂のパターンて感じがする。拓海の友人で作家の井坂好太郎も、名前を考えるのが面倒だったからってあとがきに書いてあるけどやっぱり意識するな。岸辺露伴的な感じか。

(あらすじ)
 SE渡辺拓海は会社の先輩である五反田が失踪したことからその代役として、ある会社から依頼を受けたシステム改良を同僚の大石と共に始めるが、拓海は五反田の居場所を探し出そうとする3人組の男から暴行を受ける。同僚の大石から、依頼を受けたプログラムは「播磨崎中学校、個別カウンセリング、安藤商会」と検索してサイトへたどり着いた人を見つけようとしていることを聞かされる。その言葉を検索した大石は集団暴行事件の主犯として逮捕され、上司の加藤課長は自殺し、妻の依頼で拓海を拷問しようとしていた安藤は家が焼かれ拷問を受ける。拓海の友人で作家の井坂が「播磨崎中学校事件」をモチーフにした小説を書いたと聞き、拓海はこれらの言葉の関連を調べ始める。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
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2011-02-18 23:03 | カテゴリ:その他小説
つやのよる'10年4月刊

 この人の作品にしては珍しい作りになってる。艶という女性に関わった人の連作小説だけど艶が直接浮かび上がってはこない。ほとんどが艶に直接関わった人の艶の話ではなく話の中に間接的に出てくるという印象である。そのため本の中に艶を探しに行くとちょっと複雑になる気がする。なので単純にその章を短編として読んだ方がいいのかもしれない。珍しいと言ったのはミステリーなんかで取られる手法で、全体のプロットがあるんだろうなって感じさせる小説の分野に入りそうだから。どんな小説にもプロットはある上で書かれるんだろうけど順番に進んでいく話だとそんなことは考えないで読んでる気がする。最終章でそれまでの話がつながりを見せる。
 著者も言ってるけど「ある物語があれば必然的にそこにかかわった人間の数だけの物語がある。」艶に関係を持つ人たちのそれぞれの物語である。

(あらすじ)
「艶の従兄の妻、石田環希(51歳)」
 環希と、作家天馬愛子のせいで編集者を辞め作家になった夫行彦と二人の共通の友人池谷氏とその妻玲子の織りなす物語。
「艶の最初の夫の愛人、橋本湊(29歳)」
 工務店に勤務する湊が社長と関係を持ちながらもアパートのオーナー太田とも関係を持つ。太田の元にかつての妻艶の危篤の連絡が入る。
「艶の愛人だったかもしれない男の妻、橋川サキ子(60歳)」
 総菜屋で働くサキ子は夫仁史を自殺で亡くしていた。艶という女性の夫でマツオと名乗る男から艶危篤の連絡が入る。艶と仁史とは何かの関係があるという。サキ子は艶が入院している病院があるO島へ向かい、艶と仁史は出会い系サイトで知り合った事を聞く。
「艶がストーカーしていた男の恋人、池田百々子(33歳)」
 O島の美容室で働く百々子は恋人の優がかつて身ごもらせた女とその子供に会う。優はかつて艶に言い寄られていたが、艶は危篤状態にあった。
「艶のために父親から捨てられた娘、山田麻千子(20歳)」
 大学生麻千子の父は料亭の板前だったが、麻千子が八歳の時に艶と暮らすために家を出て行き、O島で「レストラン松生」を始めた。麻千子は高畠朗人と遠距離恋愛中だったが安藤教授とも関係を持つ。
「艶を看取った看護師、芳泉杏子(31歳)」
 杏子はレストラン松生で叔母が連れてきた真藤一巳と見合いをしたことを艶に話す。杏子は真藤と交際しながらもかつての交際相手だった雅人を思い起こす。
「艶の最後の夫、松生春二(49歳)」。
 松生は小柄な中学生が浅い川を竿で掻きまわしている光景を見る。竿の先には白いスポーツシューズの片方があった。十年来艶と暮らしてきたが入院のため艶を病院へ送り出す。浜辺で川で見た中学生を見つけ、茅原優の元に母親と一緒に来た子供だということを知る。少年は松生に「艶と結婚してるんだ」と聞く。
【ジャンル】:小説・文学 【テーマ】:文学・小説
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2010-11-28 23:15 | カテゴリ:その他小説
死ねばいいのに'10年5月刊

 6編からなる連作小説。各編には「1人目」~「6人目」のタイトルがつけられており、各編だけでも成立しているが最終篇はそれまでの話の解決篇になる。
 渡来健也なる青年が、派遣社員をしていた鹿島亜佐美の死亡についてその関係者を訪ね歩き亜佐美について聞いて回る。単純に亜佐美の人となりを聞いて回るだけなのだが、聞いた相手が亜佐美のことより自分のことを考え始め自分のことを話してしまう。亜佐美の派遣先の会社の上司、マンションの隣室の女性、亜佐美の男だったヤクザ、亜佐美の母親、担当刑事、そして・・・。それぞれが亜佐美に対して後ろめたい部分をもっておりそして自分が置かれている状況に不平不満を抱えている。
 健也が殺人事件の探偵役という訳ではない。健也は自分を、頭が悪く馬鹿だし言葉遣いも知らないと言うが返ってそれが相手にストレートな疑問をぶつける。ホントにどうしようもなく、生きている意味がないなら「死ねばいいのに」と言葉を投げかける。しかし実際はそうでもなく死ぬほどのこともなく、問題は自分の中にあることを気付かされる。世の中のしがらみの中でできあがった常識にとらわれて身動きできなくなり思い悩んでいる自分に気付かされる。
《健也語録》
「認められなくたって褒められなくたって、やんなきゃいけねーこときちんとやれてりゃそれで構わねえはずじゃね?」
「才能認めてくれる人が居ねーとか。そういうのって誰かが与えてくれるもん?」
【ジャンル】:本・雑誌 【テーマ】:読んだ本。
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